いつも出来るだけシンプルで正直な住宅を創りたいと思っています。
そして心地よい重心を感じられる家。
空間のボリュームや使用する素材、光や風といった環境…そこに住まう人…
それらを読み込み、バランスを整え、ひとつの住宅として手渡す。
わたしたちの共通の姿勢です。
わたしたちの設計する住宅の空間はいつもシンプルです。
平面図を見ていただいただけでは、あまり面白みは感じられないかもしれません。
それはわたしたちが、住宅には過度なデザインや緊張感は
必要ないのではないかと考えているからです。
敷地環境や諸条件、ご要望などがうまくシンプルにまとまったとき、
本当に正直で心地よい住宅がお渡しできると確信しています。
わたしたちが設計する場合、いつも心がけているのは、
正直な素材を使おうということです。
木や漆喰、珪藻土などの自然由来の素材はもちろん、
コンクリートや合板、鉄といった工業生産の素材も使います。
これらの素材は経年変化で風合いが変化し、
そこに住む人と共に年月を重ねるように感じるからです。
表面的に綺麗に仕上げを施したもの、例えば表面に綺麗な木目を印刷したボードや○○風クロスといったような材料は、時間が経つごとに捲れて下地も露わになる…。
なんだか正直でないように思うのです。
正直な素材は手入れも必要ですが、一生のすまい、
ともに暮らして頂きたいと思っています。
シンプルな空間を作りたいと思っていますが、
何もデザインしないということではありません。
窓の大きさのバランスを考えたり、枠の納め方、天井の高さ、
使い勝手のための手摺や家具の配置。
そのひとつひとつがデザインすることであり、
その積み重ねがひとつの空間を作り出します。
目立たない作業ですがいつも真剣に考えて答えを出しています。
設計させていただく住宅にはいつも、
何ヶ所かあそびの部分を持たせたいと思っています。
それは一人閉じこもれる空間であったり、階段の手摺のデザインであったり、
その時々で様々です。
住宅の重心から少し外れた場所の、ちょっとホッとできるささやかな仕掛け。
これは案外大切だと思っています。
新たに住まいの土地を決められるというのは、
楽しみでもあり大きな決断のいるところですね。
一生の住まいの場として予算はもちろん、住環境としてどうか、
通勤や通学はどうか、日当たりはどうか…。
これまでの経験や建築士としての知識から、
住宅を建てる上でのアドバイスはいくらでもさせていただきます。
土地の決定前からお話しを伺っていると、
建築主と設計者で共通のイメージを掴み易いかもしれません。
わたしたち夫婦は雰囲気がよく似ているといわれます。
いいなぁと思うものが似ているせいかもしれません。
建築や住宅に対しても共通の価値観を持っているわたしたちですが、
そこへのアクセスはちょっと別々です。
男女差、経歴差、年齢差…その差が、建築主の方とともにひとつの家を創りだすとき、様々なものを導きだす糧となっています。
「ふたりだから、できること」 だと思っています。